この記事では、Stable Diffusionを動かすためのPCの推奨スペックについて解説しています。
市販されている有料ソフトウェアだと、動作環境がパッケージ裏や公式サイトに必ず書いてあると思います。
しかし、Stable Diffusionはオープンソースのソフトウェアのため、要求されるPCの推奨スペックや必要スペックなるものが明確ではありません。
いろいろなStable Diffusionがありますし、バージョンアップも行われます。プログラムの作成者は個人だったりするので、細かな動作環境を確認してからリリースするのは困難です。
そうした事情で、Stable Diffusionは推奨スペックが曖昧なのです。
せっかく、Stable DiffusionのためにBTOパソコンやゲーミングPCを購入したり、グラボを交換してチューンナップしても低スペックで動かなかったりしたら困りますよね。
そこで、Stable Diffusionがローカル環境で動作するためのPC推奨スペックをCPU、メインメモリ、グラフィックボード、ストレージ、電源ユニットに分けて解説します。
CPU
Stable DiffusionによるAIイラスト作成は、グラフィックボード(GPU)の性能に左右されるので、CPUのスペックはそれほど重要ではありません。
こちらの画像は、Stable Diffusionでイラストを連続生成している時のCPU使用率です。
イラスト生成中のCPU使用率は10%くらい、瞬間的に20%に到達する程度です。
Stable Diffusionには、CPUがあまり重要でないことが分かると思います。
Ryzen9やCorei9などの高スペックCPUを買うくらいなら、その分をグラフィックボードに投資したほうが、AIイラストの生成速度は速まります。
CPUのメーカーがインテルかAMDかは、どちらでも問題ありません。
筆者は、AMDのRyzen5を使っていますが、Stable Diffusionには十分な性能だと感じています。
AMD Ryzen 5 5600 with Wraith Stealth Cooler 3.5GHz 6コア 12スレッド
メインメモリ(DRAM)
AUTOMATIC1111のトラブルシューティングによると、
「プログラムがスムーズに動作するには 16GBのRAMが必要」と書かれています。
8GBでも動作しますが、16GB以上のメインメモリーが推奨されます。
こちらの画像は、Stable Diffusionでイラスト生成中のメモリ使用量です。
メモリは6.6GB使用中、他のアプリを起動すれば8GBを超えてしまうと思います。
待機中とイラスト生成中でメモリ使用量はほとんど変化がありませんが、モデルを変更した時にメモリ使用量が10GB前後に上がります。
デスクトップのメモリはDDR4-3200 8GBが数千円で手に入ります。メインメモリーが8GB以下の場合は増設しておきたいところです。
メインメモリが多ければ、AIイラストの生成速度が速くなるというわけではありません。
Stable Diffusionの動作には16GB以上あれば十分です。
筆者は、Crucial DDR4-3200 8GB 2枚で16GBのメインメモリにしています。
Crucial DDR4 3200crucial 16GB Kit 8GBx2 DDR4 3200 MT/s(PC4-25600)CL22 SR x8 UDIMM 288pin CT2K8G4DFS832A
マザーボードが対応していれば、高速化のためにデュアルチャネルにすることをおすすめします。
グラフィックボード
玄人志向 RTX3060搭載 グラフィックボード GDDR6 12GB GALAKURO GAMINGシリーズ GG-RTX3060-E12GB/OC/DF
ストレージ(ディスク容量)
Stable Diffusionのモデルファイルは数GBあるので、複数モデルのファイルをダウンロードすると、ストレージの容量を圧迫します。
生成された画像は、画質により1枚300KBから1MBくらいです。
ですので、最低でも500GB、後々のことを考えると1TB以上は欲しいところです。
PCの起動や読み込み、書き込み速度が速くなるので、ハードディスクよりもSSDがおすすめです。
電源ユニット
Stable DiffusionでAIイラストを生成すると、グラフィックボードが多くの電力を消費します。
電力が足りなければ、動作が不安定になったり、PCが落ちるので、電源ユニットは重要なパーツといえます。
今まで、グラボを使っていなかったり、アップグレードする場合は、電源ユニットの交換が必要になるかもしれません。
電源ユニット選びは、グラフィックボードに推奨電源がありますので、そのワット数を目安にすればOKです。
この推奨電源は、グラフィックボードだけでなく、CPUなども含めたシステム全体が動くワット数になります。
例えば、筆者は「ZOTAC ZT-A30600H-10M」ミドルクラスのグラボを使っています。
ZOTAC公式サイトの仕様によると、推奨電源 600Wと書いてありますので、600W以上の電源ユニットを使います。ちなみに、このグラボの消費電力は170Wですね。
電力変換効率のグレード「80PLUS」はゴールドなど、高いほうがいいですが、予算に合わせて選べばいいと思います。
筆者は玄人志向の750ワット、フルプラグインタイプの電源ユニットを使っています。
玄人志向 STANDARDシリーズ 80 PLUS GOLD認証 750W フルプラグインATX電源 KRPW-GK750W/90+
こんな感じで、Stable Diffusionの推奨スペックを満たすPCを用意してみてください。BTOでも自作PCでも、どちらでも大丈夫です。
以上、Stable Diffusionに必要なPCの推奨スペックについて説明しました。低スペックPCしか持っていない人は、必要スペックを満たすPCの購入を検討してみてくださいね。
※ この記事で説明している推奨スペックは、Stable Diffusion AUTOMATIC1111 web UIがローカル環境のPCで動作するための目安です。動画編集やゲームなど、他の用途は考慮していません。